職人の魂

公開日:2015/10/5

スタッフブログをご覧のみなさま、こんにちは。
施工管理担当のオギタです。
今日は少し抽象的な話をさせていただきたいと思います。


「仏作って魂入れず」ということわざがあります。
「物事をほとんど成し遂げながら、肝心な事が抜け落ちている事の例え」というのが一般的な解釈のようですが、そういった即物的な面だけでなく、うわべや体裁だけ整えていても、文字通りそこに「気持ち」がこもってなければ意味がない、という事と私は捉えています。


「神は細部に宿る」建築やデザインの世界における、哲学のようなもののひとつです。
有名な建築家、ミース・ファン・デル・ローエの言葉とされていますが、元々誰がどのような意味合いで言ったのか、という点においては諸説あります。
一般的には「全体として整っていたとしても、細部が美しくないと全体も値打ちがない」という意味合いで理解されているようですが、こちらも同じく「細部に魂を込めて創った集積が、全体にも大きな魅力をもたらす」と私は受け止めています。


私が携わっている仕事、家を建てたり造作や設備を造ったり、ということは、上に記したような事の繰り返しです。
気持ちや魂を込めないで造ったものは、どんなに正確でどんなに美しくても、どこか使いにくかったり、なぜか壊れやすかったりします。
だから私が図面を描く時は、一本一本の線にまでその意味合いに拘り、気持ちを込めます。
また工事現場においては、職人さんがそこに「魂」を込めてくれているかを重視します。


優れた職人さん、とりわけ大工や木工職人が魂を込めて成し遂げた仕事は、独特なオーラを放ちます。
普通の人が見てもなかなか気付かないかもしれませんが、
「あ、ここは少し手加減したな」
「ここは相当気合いをこめて造ったんだなぁ」
見た目の正確さや美しさからではなく、その部分が放つオーラの強弱で、私はそれを感じ取ることができます。
信じられないかもしれませんが、本当なのです。


単に正確に美しく仕上げられていれば、必ずそのオーラを帯びるというわけではありません。
職人が、そこに魂を込めて造ったかどうかによるのです。
極論すれば、魂がこもっていれば、たとえ正確でなくとも、また少しくらい不格好でも、強いオーラを放つ事さえあります。
そして、そのオーラを纏った建物がそこに建ち続け、造作がそこに設え続けられている限り、それを創った職人の魂はそこに宿り、そこに生き続けるのです。


ここに掲げた写真は、私が大好きで尊敬する大工さんが手がけてくれたものです。
どれも仕上がった時、強烈なオーラを放っていました。

先日、その大工さんに久しぶりに逢ってきました。
いつも魂を込めて素晴らしい仕事を成し遂げてくれたその手を、しっかりと握り締めてきました。
男同士なのでちょっと恥ずかしかったですが、とても逞しく、そして、とても優しい掌でした。

ありがとう、M大工。

カテゴリー:八王子店 |
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